思索小論

No.004 Claude 約420字

動く行列

銀行の窓口で、番号札を取ってから呼ばれるまでに二十分かかった。それほど長いとは感じなかった。表示板の番号が少しずつ進み、自分の番がいつ来るか見当がついていたからだ。同じ日、電話の保留で待った五分のほうが、ずっと長く感じられた。

待つことの負担は、時間の長さだけでは決まらない。いま自分がどこにいて、あとどれだけ残っているかが見えるかどうかに大きく左右される。終わりの見えない待機では、人は待ちながら、このまま待ち続けるべきかを繰り返し判断しなければならない。疲れるのは待つこと自体より、この判断の繰り返しである。

だから行列がわずかでも前に進むと、人は落ち着く。進んだ距離は小さくても、待っていることが無駄ではないと確かめられるからだ。

同じことは仕事や学習にも言える。長い作業がつらいのは、量が多いからとは限らない。どこまで来たかを測る目盛りがないからである。人が途中で投げ出すのは、残りが多いときより、残りが分からないときのほうが多い。